最高速度と実効速度の違いについて
最高速度と実効速度の違いを「トラックで大量の荷物を目的地に運ぶ」ことをイメージして比較します。
最高速度は車や道路の性能が上がると向上します。基盤設備に関係する「乗り物」「リミッター」「車線」「ルート」によって最高速度は決まります。
最高速度は理論的な計算で求める速度です。まず大型トラックの荷台に隙間なく荷物を詰めこみます。目的地につながる複数の高速道路を貸し切って車線いっぱいに並んだトラックがリミッターMaxの速度で目的地に運び終えます。
一方、実効速度は実際の運搬を行ったときの速度です。荷物の積み方や効率的な配達ルート、渋滞を回避したりと様々な仕組みで対応することによって最高速度に近づける努力をします。事前に計算はできず実測する必要があります。
最高速度は理論的な計算値、実効速度は最速環境での実測値です。
最高速度(最大通信レート)
最大通信レートを構成する4つの技術
- 変調信号…乗り物
- 符号化率(誤り訂正)…リミッター
- 帯域幅…車線
- MIMO…ルート
Wi-Fiに関する4つの技術を基盤設備を表す車や道路に例えて表します。
最大通信レートの計算方法
Wi-Fiの最大通信レートは「変調信号」「符号化率」「帯域幅」「MIMO」の値を元に計算します。例えばWi-Fi6の最大通信レートの計算は次の通りです。
9.6Gbps(9600Mbps)=10×5/6x144x8
しかしこの速度はあくまで理想環境において計算された速度なのであまり参考になりません。
実効速度(実効スループット)
実効スループットに効果的な8つの技術
- OFDMA…積み方
- ビームフォーミング…重点エリア設定
- MU-MIMO…マルチユーザー
- UL/DL MU-MIMO…上下線活用
- メッシュWi-Fi…エリア配送
- TWT(Target Wake Time)…計画運休
- BSS Coloring…チームカラー
- バンドステアリング…オートリルート
Wi-Fiに関する8つの技術を荷物の運び方に例えて表します。スループットとは単位時間当たりの処理能力のことです。
「OFDMA」「UL/DL MU-MIMO」「TWT(Target Wake Time)」「BSS Coloring」はWi-Fi6から採用された実効速度に効果的な技術です。
補正した最大通信レートの計算方法
実際の使用環境を考慮した「帯域幅」「MIMO」を使って再計算します。例えばWi-Fi6(802.11ax)の最大通信レートの計算は次の通りです。
1200Mbps=10×5/6x72x2 (5GHz帯)
実使用環境で計算した最高速度も理論値です。実効速度を向上させる技術を利用して理論値に近づけることが重要です。