Wi-Fiの理論的な通信速度として表記される6.9Gbpsや9.6Gbps。なんか嘘っぽいこの速度はどのように計算するのでしょうか。また実際の通信速度はどのくらい出るのでしょうか。
分かりにくいWi-Fi速度の計算方法をまとめました。
Wi-Fiスペックのまとめ
よく知られているWi-Fiのスペックです。クリックすると拡大します。
Wi-Fiの利用周波数は2.4GHz帯と5GHz帯が利用されていますが、今後は6GHz帯もしくはそれ以外の帯域が使われる予定です。
もう少し先の話になりますが、Wi-Fi7候補の802.11beでは異なる周波数帯を束ねるリンクアグリゲーションも検討されているようです。
有効データサブキャリアレートの計算
帯域幅が最大のときのサブキャリアに関するまとめです。データとして有効なサブキャリア数とガードインターバルを含めたシンボル長によって計算できます。速度を計算するために必要な情報ですが、この辺難しいので飛ばしてください。
理想環境での最高速度
最大通信レートのグラフ(理想環境)
上のグラフはWi-Fiの最大通信レートを表しています。Wi-Fi規格が新しくなるにつれてスピードも向上します。Wi-Fi7になると46Gbpsです。速すぎる。
しかしこの速度はあくまで理想環境において計算された速度なのであまり参考になりません。重要なのはスペックではなくて実際の最高速度をざっくり計算できるようになっておくことです。
最大通信レートの計算方法
Wi-Fiの最大通信レートは「変調信号」「符号化率」「帯域幅」「MIMO」の値を元に計算します。例えばWi-Fi6(802.11ax)の最大通信レートの計算は次の通りです。
9.6Gbps(9600Mbps)=10×5/6x144x8
実使用環境での最高速度
最大通信レートのグラフ(実使用環境)
下のグラフは特性が違う2.4GHz帯と5GHz帯(6GHz帯)の2つの周波数帯に分けた通信レートです。PCやスマホで受信することを想定してアンテナは2ストリームで計算しています。ここからが本題です。
2.4GHz帯
2.4GHz帯(黄色)は遅すぎなんです。1Gbpsにほど遠いスピードです。
これは壁を通過しやすい2.4GHz帯の特性が関係しています。実際の2.4GHz帯は不要な電波で混雑しています。そのため帯域幅は干渉を回避しやすい20MHzがよく使われています。
速度を重視したいなら2.4GHz帯の利用は避けた方がいいでしょう。ルーターの台数を増やすほど妨害が増えます。
5GHz帯(6GHz帯)
一方5GHz帯(青色)ではWi-Fi6(802.11ax)になると1Gbpsを超えます。5GHz帯サイコー。
干渉が少ない5GHz帯は帯域幅80MHzで計算しました。Wi-Fi7候補の802.11beでは周波数帯の整備・有効活用が見込まれているので帯域160MHzで計算しています。
光回線1Gbpsを契約しているならWi-Fi6の5GHz帯を利用するのが最適です。
補正した最大通信レートの計算方法
2.4GHz帯
実際の使用環境を考慮した「帯域幅」「MIMO」を使って再計算します。例えばWi-Fi6(802.11ax)の最大通信レートの計算は次の通りです。最新のWi-Fi6なのに300Mbps以下です。
287Mbps=10×5/6×17.2×2 (2.4GHz帯)
5GHz帯(6GHz帯)
実際の使用環境を考慮した「帯域幅」「MIMO」を使って再計算します。例えばWi-Fi6(802.11ax)の最大通信レートの計算は次の通りです。光回線の1ギガプランを十分生かせるスピードです。5GHz帯サイコー。
1200Mbps=10×5/6x72x2 (5GHz帯)
Wi-Fiチェッカーで実使用環境を確認する
2.4GHz帯は壁を通しやすいため離れた場所でも受信できます。しかしそれは不要な電波も拾ってしまうことを意味しています。2.4GHz帯の電波は干渉を防ぐために20MHzのシングルボンディングに設定されていることが多いです。
5GHz帯は壁が障害となりやすい特性を持っているので、不要な電波が遮断されて帯域幅も広く確保できます。ただし窓側に置くと5GHz帯レーダーの干渉を受けるので注意が必要です。5GHz帯の電波は80MHzのクアッドボンディングに設定されていることが多いです。
電波の混雑状況や帯域幅はスマホアプリで確認することができます。
WiFi アナライザー
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