電気代をイメージする上で重要な「27円/kWh(税込)」という単価があります。この単価は家電公取協が全国の電力料金を踏まえて算出した値です。カタログなどに載っている電気代はこの数値を使って計算されています。
「27円/kWh」は1kWhの電力量ごとに27円かかるということを表しますが、そう言われてもピンとこない方は多いでしょう。しかしこの数値は非常に重要で「1kWh=27円」を覚えれば家電製品のスペックから電気代がイメージできるようになります。
電気代の係数27円/kWh
1kWhはかなりの電力量
「1kWh」は1kW(1000W)という強さの電気を1時間消費する仕事の量です。同様に500Wを2時間消費する仕事量も1kWhです。
電力を大量に消費する家電製品はよくワット表示されます。1000Wレベルの家電製品といえば「ドライヤー(ターボ)1200W」や「電子レンジ600W」などがあります。
電気代27円はこれら1000Wレベルの家電製品を1時間つけっぱなしで消費する規模に相当します。1kWhはかなりの電力量ということが分かります。
27円はかなりの低コスト
電池の電力量は「電池の電圧」と「放電容量」により計算できます。単3電池の電力量は「1.2V」x「2000mAh」のように計算され1本分では約「2Wh程度」です。
単3電池「2Wh」が「500本」あれば「1000Wh」の仕事量です。
新品の単3電池500本に相当する仕事を27円で利用できるならかなり安いと感じます。
我が家の係数の調べ方
我が家の係数が「27円/kWh」とは限りません。27円より安いのか高いのか。我が家の係数は毎月の料金表から調べることができます。
アプリで見る検針結果
スマホアプリを利用すれば複雑な料金も簡単に確認することができます。明細が分かりやすい会社を選ぶことも大事なことです。
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電気料金は3段料金
1.基本料金
2.3段階の電力量料金(STEP1,2,3)
3.燃料費調整額
4.再生可能エネルギー課金
電気料金=「基本料金」+「3段料金の電力量料金」±「燃料費調整額」+「再生可能エネルギー課金」
正式な電気料金の計算は非常に複雑で4種類の料金が合計されています。
検針結果で分かる電気代の係数
毎月の電気代は「複雑な計算式」が使われますが、ちょっとした電気代は「簡易計算式」を使用します。簡易計算を行うには「27円/kWh」のような係数が必要です。係数は我が家の「電気料金」÷「使用量」で求めます。
アプリで料金表を見ると1ヵ月の使用量は「348kWh」で1ヵ月の料金が「8,971円」です。我が家の電気代の係数は8971÷348=25.8なので約「26円/kWh」と計算できます。
全国の電力料金を踏まえた目安単価「27円/kWh」よりも安い金額となりました。地域や使い方、料金プランによって異なります。今後我が家の電気代を計算するときは「26円/kWh」を使用します。
コストを「円表示」に統一
家電製品のコスト情報は取扱説明書などに「消費電力」としてW(ワット)表示されています。しかし実際に知りたいのは「1回使うといくら?」「1時間使うといくら?」といった金額での表示です。
円表示
家電製品のコスト「消費電力」は「円」に変換しましょう。変換に使うのは先ほどの係数「26円/kWh」です。
コスト(円表示)=「26円/kWh」X「消費電力*」
*消費電力は時間の考え方が大事です。
時間表示
コストは1時間、1日、1ヵ月、1年の4種類を使い分けます。それぞれの使い道は次の通りです。
・1時間あたり:短時間使用する家電製品
・1日あたり:毎日使用する家電製品
・1か月あたり:毎月の電気代に占める割合
・1年あたり:家電製品購入の目安
電気代を計算する
電気代の「予想値」と「実測値」に差が出る場合は条件の見直しが必要かもしれません。多くの家電製品は自動調整の機能が働いています。明るさ調整、音量調整、温度調整、湿度調整、におい調整、空清調整など使用環境に左右されます。
例えば空気清浄機の運転モードを「しずか」に固定すれば差はあまり出ないことが予想されます。実際に測定して比較してみました。
空気清浄機の予想値 4.99円/日
製品の仕様書には消費電力(W)が表示されています。この表示があればコストが計算できます。
たとえば空気清浄機を「しずか」モードで「60分」使用した場合の電力量は次の通りです。
「しずか」モード:8W=0.008kW
「60分」:60分=1.0h
消費電力量(kWh)=0.008×1.0=0.008kWh(1時間)
消費電力量(kWh)=0.008×1.0x24=0.192kWh(1日)
消費電力量(kWh)=0.008×1.0x24x30=5.76kWh(1ヵ月)
消費電力量(kWh)=0.008×1.0x24x365=70.08kWh(1年)
1日当たりの電気代は26(円/kWh)x0.192(kWh)=4.99円/日
空気清浄機の実測値 4.40円/日
ワットモニター
SANWA SUPPLYのワットモニターが便利です。結果ができるだけ正確になるように次の操作で測定しましょう。
- 【初期化】コンセントを1度抜くのでリセットしてから計測スタートする。再起動の電力をカウントさせない。
- 【料金設定】1kWhの値段を我が家の係数(26円)に設定する。
- 【測定方法】測定にムラがでないようにできれば測定は1日以上かける。
ワットモニターは「待機電力」や「定常運転」の電力測定に向いています。実際の電力量は4.40円/日という結果になりました。
製品内蔵の電気代チェッカー
ワットモニターは200Vに対応していません。高機能なエアコンの中には電気代表示機能が内蔵されているモデルもあります。
計算せずに電気代を調べる
しんきゅうさん
省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」「しんきゅうさん」は省エネ製品への買換えによる電気代削減効果を簡単に比較できるサイトです。環境省のホームページから利用することができます。パソコン版とスマホ版があります。
照明・器具・LED照明、エアコン、冷蔵庫、テレビ、温水洗浄便座を選ぶだけで電気代を比較することができます。
エアコン買換え
書斎エアコンの買換え
2006年東芝製RAS-225G(6~9畳)2.2kWと2020年富士通ゼネラル製AS-C22K(6~9畳)2.2kWの比較です。
10年以上ぶりの買換えは年間電気代が約3780円お得になる計算です。
リビングエアコンの買換え
2006年東芝製RAS-506GR(11~17畳)4.0kWと2019年ダイキン工業製AN63XRP(17~26畳)6.3kWの比較です。
10年以上ぶりの買換えですが、部屋の広さが変わっているので電気代が7800円上がっていることが分かります。